簡単プチプラ!押入れの壁と床をDIYで見違える空間に変える事例
デッドスペースになりがちな押入れを変身させるDIY
家の中に存在するものの、有効活用できていないスペースはありませんか。特に古いタイプの住宅にある押入れは、奥行きがあって使いにくく、気がつけば「とりあえず」の物を詰め込んでしまう、いわゆるデッドスペースになりがちです。湿気がこもりやすく、暗い印象も拭えないため、開けるたびに憂鬱な気持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この押入れの壁と床を少しだけDIYするだけで、見違えるほど明るく、快適で、使い勝手の良い空間に生まれ変わらせることができます。今回は、そんな押入れの壁と床に焦点を当てたDIY事例をご紹介します。
Before:古くて暗く、使いにくい押入れ
この事例の押入れは、一般的な合板の壁と、昔ながらの砂壁のような床で構成されていました。全体的に暗く、ホコリっぽく、独特のにおいがこもりやすい状態でした。壁には経年による汚れや傷があり、床も均一ではなく、そのまま物を置くには抵抗があるような見た目でした。押入れの奥行きは十分にあるものの、既存の枕棚と中段があるだけで、収納効率も決して良いとは言えない状況でした。ここを、もっと快適で、用途に合わせて使える空間に変えたいというのが今回のDIYの出発点でした。
DIYプロセスと、初心者・低予算で叶えるポイント
今回の押入れDIYでは、壁にアクセントとなるデザインの壁紙を貼り、床には掃除がしやすく明るい柄の床材(クッションフロア)を貼ることにしました。どちらも比較的扱いやすく、初心者の方でも挑戦しやすい材料です。
使用した主な材料と道具
- 壁紙: 貼ってはがせるタイプや、生のり付きタイプ。今回は、広い面にはシンプルなもの、奥の壁面には少し柄のある壁紙を選びました。
- 床材: クッションフロアまたはフロアシート。ハサミやカッターで切れる厚みのものを選びました。
- 壁紙用のり: 生のり付き壁紙以外の場合に必要(少量であれば簡易タイプも)。
- 床材用ボンド: クッションフロアを固定するために使用。両面テープで代用できる場合もあります。
- カッター、ハサミ: 壁紙や床材のカットに使用。
- カッターマットまたは厚紙: カット時の下敷き。
- 定規、メジャー: 採寸とカットライン引きに使用。
- ヘラ(スムーサー): 壁紙の空気抜きやシワ伸ばしに使用。
- 圧着ローラー: 壁紙や床材をしっかり圧着するために使用。
- マスキングテープ、養生シート: 貼りたくない場所の保護や、のりが付かないようにするための養生。
- バケツ、タオル、スポンジ: のりを使用した場合の拭き取りや清掃に。
- サンドペーパー、パテ: 必要に応じて下地処理に使用。
手順の概要
- 清掃と下地処理: まず押入れの中の物をすべて出し、壁や床のホコリ、汚れを徹底的に掃除します。古い壁や床に凹凸や剥がれがある場合は、サンドペーパーで削ったり、パテで埋めたりして表面を平滑にします。カビがある場合は、カビ取り剤でしっかり除去し、乾燥させることが非常に重要です。この下地処理を丁寧に行うことで、仕上がりが格段に良くなります。
- 壁紙貼り: 貼る面のサイズを正確に測り、壁紙をカットします。柄物の場合、柄合わせを考慮して少し長めにカットします。壁にのりを塗るか、壁紙自体にのりがついているタイプを使い、上から空気が入らないように貼り進めます。ヘラを使って中心から外側へ空気を抜き、余分なのりはその都度拭き取ります。コンセントやスイッチ部分があれば、位置を確認して切り込みを入れて対応します。
- 床材貼り: 押入れの床の形に合わせて床材をカットします。複雑な形の場合は、新聞紙などで型紙を作ると正確にカットできます。床にボンドを塗るか、床材の裏面に塗布し、位置を合わせて貼り付けます。圧着ローラーでしっかり押さえ、端部を固定します。
- 仕上げ: 壁紙と床材の境目や、巾木部分などにコーキング材やモールディングを取り付けると、より完成度が高まります(必須ではありませんが、埃溜まりを防ぐ効果もあります)。
初心者・低予算で実現するためのポイント
- 狭い場所から挑戦: 押入れの中は外部から見えにくい場所です。多少失敗しても目立ちにくいため、壁紙貼りや床材貼りの練習には最適です。
- 扱いやすい材料を選ぶ: 貼ってはがせるタイプの壁紙は、貼り直しができるため初心者向けです。クッションフロアは比較的柔らかく、カッターで容易に切れるので扱いやすい床材です。
- プチプラアイテムを活用: ホームセンターや100円ショップには、DIYに使える便利なアイテムや、安価な材料が豊富にあります。タッカーやグルーガンなども手軽に使える道具として活用できます。
- 下地処理は丁寧に: 面倒に感じるかもしれませんが、仕上がりの美しさや耐久性に直結するため、下地処理だけは手を抜かないことが重要です。
- 採寸は複数回確認: 特に押入れのように変形している場合や、柱がある場合などは、採寸ミスがないように複数回測りましょう。床材の型取りは、新聞紙などを利用すると失敗しにくいです。
- 無理せず休憩を: 狭い場所での作業は想像以上に疲れます。焦らず、適度に休憩を挟みながら進めましょう。
After:明るく清潔で、用途が広がる空間へ
DIY後の押入れは、Beforeの状態からは想像できないほど明るく清潔な空間へと変化しました。選んだ壁紙と床材の色や柄によって、暗い押入れがまるで別の部屋のように生まれ変わりました。この事例では、明るい木目調の床材と、背面のみにアクセントとなる柄の壁紙を貼ったことで、奥行きが感じられつつも圧迫感のない、心地よい空間になりました。
床が平滑で掃除しやすくなったことで、収納ケースを出し入れしやすくなったり、立てかける収納もしやすくなったりと、収納効率が格段に向上しました。また、照明を追加することで、押入れの中全体が見渡しやすくなり、物の出し入れがスムーズになりました。
この事例の主は、この明るく生まれ変わった押入れに棚板を追加し、小さな趣味のコーナーとしても活用できるスペースを作られました。単なる「物をしまう場所」から、「積極的に活用したい場所」へと、押入れの役割そのものが変化したのです。押入れを開けるたびに暗い気持ちになることはなくなり、むしろ整理整頓された快適な空間に満足感を得られるようになったそうです。
まとめ:小さな一歩で大きな変化を
押入れの壁と床のDIYは、家全体のリノベーションに比べれば小さな一歩かもしれません。しかし、この事例のように、狭くても空間の印象と使い勝手を大きく変えることができます。初心者の方にとっては、人目につかない場所でDIYの基本を学ぶ良い機会にもなります。
押入れだけでなく、クローゼットの中や階段下収納など、家の中には眠っている小さなスペースがたくさんあります。少しの材料と道具、そして「変えてみたい」という気持ちがあれば、誰でも挑戦できるのがDIYの魅力です。
まずは使っていない押入れや収納スペースを観察してみてください。壁の色や床の素材を変えるだけでも、きっと大きな変化を感じられるはずです。この記事が、あなたのDIYへの最初の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。